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「もうラーメンを我慢しない」おいしいとヘルシーを目指して

2023年7月に発売したZENBラーメン。
ラーメン専用の麺とスープがセットになっているこの商品ですが、どのようにして開発されたのか、ご紹介させていただきます
申し遅れました。私は、ZENBラーメンの商品企画を担当しました杉山かおりと申します。


商品企画&開発担当者


(写真左より) 
松本果楠子 株式会社Mizkan Holdings 新規事業開発 R&Dグループ 2020年入社。入社以来ZENB事業に携わり、「ZENBラーメン」の麺開発を担当
大沢祐香 株式会社Mizkan Holdings 新規事業開発 R&Dグループ 2022年入社。「ZENBラーメン」スープの味づくりを担当
杉山かおり  株式会社Mizkan Holdings 新規事業開発 マーケティンググループ 2015年入社。複数プロジェクトでの商品企画担当を経て、2019年現職。「ZENBラーメン」の他、「ZENBヌードル」、「ZENBミール」を担当

丸麺、細麺に続く、新しい麺づくり


うす皮までまるごとの黄えんどう豆100%でできた「ZENBヌードル」を丸麺、細麺と発売する中で、実は次なる麺の開発もスタートしていました。最初は「もっと早く茹でられる麺」ということで考えていたのですが、麺だけで考えるのではなく、調味料もセットになったインスタントラーメンのような商品の方が、新しい需要が作れるのではというアイディアが出ました。ZENBヌードルはパスタだけでなく、ラーメン、焼きそば、まぜ麺など楽しんでいただいていて、専用のラーメンスープも発売していますが、アンケートを取るとやはりパスタで召し上がっていただいていることが多い商品です。よりラーメン適性を高めた麺と調味料をセットにしてインスタントラーメンのように手軽に作れる商品を発売すれば、ラーメンでの需要も増やせ、より多くの人に楽しんでもらえるようになるのではと考えたのです。そこからZENBラーメンの開発がスタートしました。
 

ゆで時間が短く、しかもおいしい、ラーメン専用の麺


早茹でを可能にするため、最初は厚みを薄くすることで茹で時間を短くすることを考えたのですが、薄くすればするほど短時間で茹でられるようになる分、食感が弱くなってしまい、ラーメンには向かない麺となっていきました。
そこで短い茹で時間を担保しつつ、しっかり食感も残せるように、少し中央に厚みを持たせ、楕円に近い形の麺を試作してみました。楕円にすることで食感が生まれ、スープも絡みやすい麺となり、4分で茹でられるラーメンの麺の原型が生まれました。
 
食感にもこだわるため、色んなラーメンの有名店を回りながら、日本人がラーメンに対してもつイメージや特徴を調べ、すすった際の「のどごしの良さ」や、「表面がつるっとした食感」が重要だと考えました。試行錯誤の結果、製麺するときに加える水の量によって食感が大きく左右されることが分かったので、水分量を数%単位で調整し、数十回の試作を重ね、ようやくツルッとしたのどごしの良い麺のめどがつきました。

工場生産の壁


次の段階は工場での量産化です。意気揚々と実際の工場でテスト生産したのですが、見事に問題が噴出してしまいました。製造の途中で麺同士がくっついてしまう問題です。
ラーメン独特の食感をつくる為、実はゼンブヌードルよりも加えている水の量を多くしているのですが、加える水の量が多いので麺同士がくっついてしまったのです。
何度も工場に足を運んで、生産チームのメンバー、生産を委託している工場の方々と綿密に相談し、麺がくっつかないようにさばいたり、乾燥方法を見直すなどしてべストな生産方法を編み出していきました。
実は、発売後の今もそれは変わらず、日々より良い方法を模索しながら生産を続けています。

「ZENBらしいラーメン」のためのスープ

麺の開発と並行して、スープの開発も始めました。
スープの開発は、「ZENBらしいラーメン」はどんなものか、という議論からスタートしました。
前提としてZENBは、動物性に頼らずに植物性のものだけを使い、添加物に頼らない味づくりにこだわっています。これだけでも、おいしいラーメンを作る上ではすごく難しいことでした。
ただ「ZENBらしいラーメン」というのはそれだけではなく、「夜食べたり、食べすぎたりすると罪悪感を感じがちなラーメンを、これなら毎日食べられてもいい、と思えるようなおいしさとヘルシーが両立したラーメン」を目指していこうということになりました。具体的には、「いつものインスタントラーメンよりも、塩分も脂質も糖質もすべてオフ」になるようなラーメンです。
この時点で困難なチャレンジであることは分かっていましたが、ZENBらしく、これまでにない新しいラーメンを作り出そうと、チーム一丸で取り組みました。

最初に作ったスープは、塩分や脂質を絞って、更に植物性のみの原料で作ってみたのですが、味も旨みも少なく、やはりあまり美味しいものではありませんでした。
 
ベースになるスープの部分は、すでに発売しているラーメンスープでも使用している「昆布・野菜・きのこ」のだしと香味油の組み合わせです。日本人にも親しみがある昆布だしに、白菜をメインとした複数種類の野菜ときのこを組み合わせ、動物性の原料がなくても、しっかりと旨み、コクがあるスープベースを作ることが可能となりました。添加物に頼らず素材本来の旨みや良さを最大限生かす、というZENBとしてとても大事にしている考えを貫いたスープです。


グルテンフリーの醤油味


醤油味については 「グルテンフリーでもおいしい」ということにこだわりました。
一般的な醤油は、製造工程で小麦が使われておりグルテンフリーとは言えないので、ZENBラーメンではグルテンフリー醤油を使用することにしました。
ただ、グルテンフリー醤油は小麦を使っていないこともあり、旨みがやや弱いものになっています。最初に作った試作品は、思ったような味にはなりませんでした。そこで、時間をかけて醤油を煮詰め、焦がしたような風味を加えることで、味と香りの深みを増す工夫を考え出しました。
ただ、煮詰める時間の調整にはとても苦労しました。煮詰める時間が長いと焦げすぎて味が落ちてしまうので、醤油を煮詰める時間と温度について試行錯誤を繰り返し、醤油の香りと旨みを最大限活かすポイントを見つけ出しました。納得いく品質ができたと思っています。
 

香味野菜を生かした旨塩味


醤油味のグルテンフリーに四苦八苦していた頃、塩味のスープでもまた、壁にぶつかっていました。
塩分・脂質控えめを意識すると、どうしても味として物足りなくなってしまうので、インパクトを出す為にねぎやにんにくといった香味野菜を使ってコク出しを狙いました。しかし生のまま使うと、香味野菜特有の後味やツンとした臭みがでてしまうという問題が発生していました。なんとかよいアイディアがないものかと、以前からお世話になっている天国屋の佐々木さんに相談に行きました。

今まではより香りを活かそうと思い、ねぎのフレッシュさを生かした香味油を使用していたのですが、よりねぎをしっかりと炒めて香りと風味を油に移した香味油も使った方がよいというアドバイスをいただきました。そうすることでツンとした香りを消し、まろやかで深いコクにつなげることができました。商品では、ねぎだけでなく、にんにく、しょうがなどの香味野菜を炒めたものも使用しています。
また、昆布の旨みをより活かすため、昆布だしと昆布粉の2種類を使うことで、味の厚みと深いコクを出すといった工夫もしています。


ZENBラーメン=「ライト&ヘルシー」


最初に書いた通り、ZENBラーメンは、「ZENBらしい新しいラーメン」を皆で追求してきた開発した商品です。
・たんぱく質と食物繊維が摂れて、
・塩分も脂質も糖分もいつものラーメンと比べてオフ、
・プラントベースでしかもグルテンフリー
・添加物に頼らず素材にこだわり、ちゃんとおいしいラーメン……
出来上がった商品で伝えたいことはたくさんあり、だからこそ、商品パッケージでは何をメインに伝えようか迷っていました。
 
発売前の最終段階で、出来上がった商品が実際にお客様に問題なく使ってもらえるか、ZENB商品をいつも使っていただいている方にインタビューを行いました。
そこで確認できたZENBラーメンの価値は、栄養成分やオフが多いということだけではなく、実際に食べた感じとして健康感も感じられる、ということでした。
お客様からいただいた「普通のラーメンと比べると、食べた後、胃が軽い感じ」というコメントにハッとさせられました。お客様に見つけてもらったこの商品の良いところを元に「ライト&ヘルシー」というキャッチコピーをつけることにしました。
 
実は、発売前にもう一点、調理方法にも迷っていました。開発中に試している中で、普通のインスタントラーメンのように沸騰したお湯に乾麺を入れるのではなく、水を火にかけるタイミングで乾麺を入れた方が、麺がよりなめらかに仕上がることが分かっていました。ただ、普通とは違う作り方にはなるので、お客様が迷ってしまうのではないかという不安があり、実際にインタビューの中で、確かに違うはあるけど、いつものゆで方でも十分おいしいという意見をいただき、普通の作り方通り、沸騰したお湯に乾麺を加えるという作り方にすることにしました。
ちなみに、もうひとつのゆで方は、「ワンランク上のおいしい作り方」としてこちらでご紹介しています。


もうラーメンを我慢しない、という選択


ラーメンって本当においしい食べ物だと思います。食べている間は幸せいっぱいなのですが、食べた後、ふと胃の重たさに気づき、やってしまった、と後悔することがよくあると思います。塩分、脂質、糖質、添加物、栄養がとれない……様々な理由でラーメンを我慢しているすべての人に、このZENBラーメンを、召し上がっていただけたらとても嬉しいです。