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毎日食べたいパンって何だろう。ZENBブレッドを世の中に送り出すまで

パンが大好きです。
 
パンの魅力は、ふわふわの食感と幸せの香り、そしてあのふんわりした見た目だと思います。
昔住んでいた愛知県に大好きなパン屋さんがあったのですが、そのお店の焼きたて食パンを買うために、フレックス退社したことがあります。
食パンは4枚切りに限ります。軽くトーストして、ちょっと贅沢なバターをのせて。
内側はしっとりもっちり、外側はサクッと香ばしいコントラスト。
そこにバターの塩気と、パン生地の甘みが広がる。生きててよかった。と、口に出てしまうほどの至福。パンが大好きなのです。
 
でも時に、パンは悪者になります。
毎日食べたら太る、カロリーが高いわりに腹持ちが悪い。
子どもの頃は毎日の朝食に食べていたのに、大人になって、1人暮らしをはじめて、いつのまにか毎日は食べなくなってしまったパン。
 
そんな私がZENBブレッドの商品企画担当になったのは、今から1年前、22年10月のことでした。

金田志穂 ZENBブレッドマーケティング担当。パンシェルジュプロフェッショナル

ZENBブレッドはZENBの中でも重要なテーマとして位置づけられていましたが、商品企画チームメンバーの人事異動があり、急遽ZENBブレッドを担当することになりました。R&Dチームの開発メンバーの層の厚さとそれまでの歴史に畏敬の念を抱きながら、背筋を伸ばして検討をスタートしました。
 
ZENBブレッドの商品開発の経緯はこちらから


3つのフレーバーの選択

担当して最初にあった大きな課題は、どんな商品を品揃えするかということでした。
技術開発段階ではシンプルなプレーン味として検討していましたが、実際に毎日食べてもらうには飽きないようにフレーバーが複数あった方がよい、そのまま食べて満足感のあるパンにする必要がある、と考えたのです。

フレーバーは組み合わせが無限にあるため、担当の腕が試されるところ。
まずは、他社品やパン屋さんでの素材の組み合わせを研究してフレーバー候補を検討。その後、生活者の方にアンケートを実施して人気順を調査。それからいくつかの組み合わせを試作してもらい、おいしさを確認。社内で何人にも意見をヒアリングして選抜。と、いくつもの段階を経て、「くるみ&レーズン」「カカオ」「3種の雑穀」を作ることに決めました。
 
ちなみに当時、カカオタイプは「ココア」と呼んでいました。一生活者としてZENBを愛してくれている社内の同期に、ココアだとチープな感じがする。品質にこだわっているZENBなら、カカオと呼んだ方がイメージにも品質にも合っていると思う。と意見をもらい、たしかに!と思いアイデアを取り入れました。(社内で偶然会って30分程度ZENBのサービスや商品について意見をくれることもしばしば。いつも貴重な意見をありがとう。)

 グルテンフリーでプラントベース

ZENBブレッドの最大の特徴は、グルテンフリーでプラントベースであることです。
地球にも、カラダにもやさしいパンを作りたい。そんな想いで、ゆずれないポイントとして開発を進めてきました。
パンは、小麦粉に含まれるたんぱく質からできる「グルテン」によって膨らんでいるため、グルテンを含まない原材料だけでパンを作るなんて、四次元ポケットのないドラえもんのようなもの。しかも、リッチな味わいを持つ卵やバター、牛乳なども使わずにおいしいパンに仕上げることはさらに高いハードルでした。
 
やっとこれなら、という品質になったある日、毎週日曜にヴィーガンパンを販売する「SUNDAY VEGAN」を展開するMORETHAN BAKERYの神林さんに試作品を食べていただく機会が。「3種の雑穀」を食べていただき、これがグルテンフリーでプラントベースだと話したら、「この技術はすごい」と絶賛していただきました。
 
神林さんはちょうど最近グルテンフリーのパンの開発にも取り組まれているとのことで、グルテンフリーでパンを作ることの難しさを体感されている方。本当は課題をお伺いしようと思っていたのですが、「この技術があれば後はいかようにもなると思う。とにかくすごいので、言うことはない」と言っていただき、ZENBブレッドを世の中に送り出すにあたり、大きな自信になりました。

デザインは商品の顔

こうして長い道のりを経てついに品質が決まってきたZENBブレッドを、どういうパッケージに入れるのか。どうしたら、このZENBブレッドの魅力をよりよく伝えられるのか。
パッケージのデザインにもこだわりました。
通常、パッケージデザインの開発は3~5種類のデザインから選び微修正していくことが多いのですが、このブレッドのデザイン案はのべ15種類。発売日に間に合わせるためにスケジュールがタイトな中で、デザイナーさんにもかなり無理を言って急ぎのデザイン開発を進めていただき、毎日のようにパッケージを見ては議論をするという日々を送りました。

もともと私は、A案のパッケージのようなシンプルなデザインがZENBの世界観とも合って良いと考えていました。(ZENBの商品はオンラインサイトを中心に販売していてサイトで商品の説明をすることが出来るので、シンプルなデザインにしています。)
ただ、将来的には店頭でも販売していきたい。
お値段も安いものではないので、お店で商品を見た時に魅力点が伝わらないと、買ってもらえないのでは。ということもあり、パッケージ表面でもZENBブレッドの価値を表現することにしました。

・ZENBブレッドの新しさとおいしさを伝える「まるごと豆粉パン」は目立たせる。
・グルテンフリー、小麦粉・卵・乳原料不使用を表面でも伝える。
・品質保持のため透明フィルムは使用できなかったため、おいしさ感のあるイラストは大きめに入れる。

・・・などなど、入れたいことだらけ。バランスをとるのが難しかったのですが、チームメンバーにも意見をもらいながら、ここには色があった方がよい、この字体は好きじゃない・・・などああでもない、こうでもない、と議論を重ね、私の中ではK案のパッケージにほぼ決めていたのですが、その段階でひと悶着が。
 
次の日会社に行ったら上長の机の上に「豆粉パン」が強調された複数のデザイン案がありました。あれ・・・この方向性は止めたはずでは?と思い、上長に話しかけると、デザイナーとの議論の中で、今後店頭でも販売していくことを考えるとコミュニケーションのスピードを重視してこの方向性になりそう、とのこと。
会社員らしく一度は大人しく持ち帰ったものの、若い女性をターゲットにしているのに、かわいげのなくなったこのデザインはどうしても納得できませんでした。

その日のうちにアンケートを作成し、社内の500名に一斉送信。アンケ―トの結果はやはり、K案の好意度が一番高い結果でした。この結果を持って、リーダーに直談判し(会社員になって一番の反抗でした)、その結果、リーダーも納得してくださり、K案の方向性で進めることになりました。このパッケージ案が正解だったかどうかはまだ分かりませんが、担当として最後までこだわり、自分が好きと言える商品を作れたことには、胸を張りたいと思います。

安心して召し上がっていただくために

発売前の試食調査ではよい評価がとれて無事発売も決定したのですが、一部の方から「裏面の焦げが気になる」とコメントをいただいていました。普通のパンに比べて高い温度で焼いているわけではないのですが、豆の成分や製法の影響で小麦のパンよりも底面に強い焼き色がついています。ただ、最初に見た方は気になる方も多そうなので、裏面に説明書きを加えることにしました。
また、グルテンフリーや卵、乳製品を使わないことにもこだわっているのですが、同じ工場で小麦や乳製品を使った商品も製造しているのも事実です。もちろんしっかり洗浄した上で製造しているのでアレルギーの表示は不要なのですが、重度のアレルギーの方は注意が必要と考え、表面にも注意表示を記載しています。

ここからはじまるZENBブレッドの物語

こうして出来上がったZENBブレッド。実際のパッケージに入った生産品を手にした時には、本当に嬉しい思いでした。
 
ものづくりが大好きです。
頭の中でイメージした理想を、形にすることが出来るから。
このZENBブレッドは、本当に多くの人の想いが詰まったものだと、改めて思います。
 
でも、ZENBブレッドの本当の挑戦はここから。
普通のパンより少しお値段が張るこのパンを、どう手に取っていただくか。どうしたら毎日に寄りそうパンになれるだろうか。
5年後には、「まるごと豆粉パン」が小麦パン・米粉パンにならぶパンになっていることを夢見ながら、挑戦を続けていきます。
 



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