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豆粉パンZENBブレッドの新しい形「きなこあん」

ZENBブレッドが世に出てから早1年が過ぎました。ZENBブレッドチームの挑戦は日々続いています。
24年3月頃ZENBブレッド商品企画のメイン担当金田さんに加えてサブ担当となった伊藤より、今回新商品として25年1月29日に発売した「きなこあん」についてお話させていただきます。


ZENBブレッドのバリエーションを増やす

「くるみ&レーズン」「カカオ」「3種の雑穀」の3種類で発売をスタートさせたZENBブレッド。
毎日食べてもらうには飽きないように複数種類あった方がよいと考え、まずはパンの具材・素材としても人気が高く、豆と組み合わせてもおいしく食べられる3種類を発売しました。
発売後ありがたいことにたくさんのお客様から「おいしい」のお声をいただく一方で、「豆の風味が気になる」や「満足感が足りず物足りない」といったコメントをいただくことがありました。
3種類の発売前から追加品についての検討は進めていたのですが、これらのお客様からの声も踏まえて、本格的に追加フレーバーのテーマを進めることになりました。

豆との相性抜群な「きなこあん」

次弾品として塩味系のフレーバーや、菓子パンに寄った甘みのあるフレーバーの検討など多岐に渡るアイデアをチームで出し合いました。
また当時あんぱん形状のブレッド検討を進めていたことから、小豆でできたあんぱんからきなこあん、抹茶あん、シナモンあんなど、様々な味種のあんぱんも含め、新フレーバー候補として40種類近くのパンの試食を実施しました。
試食した中で黄えんどう豆と同じ豆の大豆でできたきなこの相性が抜群であることに気づきました。
きなこの香ばしい風味が黄えんどう豆の風味とマッチして深みのある味わいを引き出していたのです。きなこでできたきなこあんなら、ブレッドの改善点として挙げられていた豆の風味を引き出した新しいおいしさのパンにできると思いました。
あんぱんといえば小豆でできたあんぱんが一般的な中で、「きなこあん」にするのはどうかとの声もありましたが、ZENBブレッドを購入いただいているお客様へ「パンの魅力的な生地や素材具材について」アンケートを実施した際に、生地の味付けとして人気が高かったフレーバーの一つにきなこが挙げられたこともあり、きなこあんのフレーバーを進めることになりました。

あんぱん作りに肝心なおへそ

しかし、きなこあんぱん作りには課題がありました。当時一日でも早く新しいフレーバーを出す必要があったため、あんぱんのように形を変えた商品の検討は難易度が高く現段階では難しいのではと考えられていたのです。
パンは小麦粉に含まれるたんぱく質からできる「グルテン」によって膨らんでいるので、グルテンを含まない原材料だけでできたZENBブレッドは通常のパンと比べて相当膨らみにくいです。
またあんを生地の中に入れることでより膨らみづらく、ぺちゃんこに潰れてしまう懸念もありました。

膨らみの解決策の一つとして、パンの真ん中に穴を開ける工程がありました。パンの中央におへそのようなくぼみがあるのですが、このおへそは焼成時に生地とあんの間に空洞を作らないようにするために開けている穴です。
あんを包んだパンは焼いている間に中のあんから、水蒸気が出て表面のパン生地を押し上げてしまいます。
そうすると、あんとパン生地の間に空洞が出来てしまい、焼き上がったあとに上に伸びた生地が潰れて不格好なあんぱんになってしまいます。
なのでこのおへそは、ふっくらとしたあんぱんを作る上で欠かせないものです。

技術チームが先陣を切ってテストを行い、焼き加減の度合いや生地の配合の調整、また膨らみ改善の穴を開ける工程の追加などを検討していきました。
そして想定よりも早くグルテンを使わない豆粉パンで、ふっくらとした食感を維持したあんぱんを実現することに成功したため、本格的に発売に向けて動き出せました。

豆の風味を活かす味づくり

きなこあんのおいしさを作るうえで、一番の難点はあん作りでした。生産の都合上、加熱の工程なしであん作りをしなければならず、またZENBブレッドは4か月の賞味期限も担保する必要がありました。
保存性の高いあんを実現するために、水と油の配合などを検討し、おから粉をあんに加えるなど工夫して、パサつきが少ないあんを目指しました。
あん作りにあたっては、原材料にもこだわりました。
きなこは黄えんどう豆と相性がよいものを選び、通常よりも深煎りで香ばしい焙煎されたきなこを使用しています。
そんなきなこに白いんげん豆でできたさらしあんを加え、大豆、白いんげん豆それぞれの豆の旨みを引き出し、風味豊かで奥行きのあるあんに仕上げました。
また、やさしい甘みの秘訣はてんさい糖です。
あえて精製度が低く、良い意味で甘さが立ちすぎないてんさい糖を使用することで、上品な甘さを実現しています。
豆の風味を隠すのではなく、引き出す。この考え方できなこあんは出来上がりました。
黄えんどう豆に大豆のきなこ、白いんげん豆を合わせるという3種類の豆を掛け合わせた相乗効果で豆の良さを引き出しています。

ZENBブレッドの新しい形

ZENBブレッドの豆の風味が気になる方にも楽しんでいただけるような商品として「紅茶オレンジ」(24年11月発売)と「きなこあん」を発売しました。
黄えんどう豆との相性にこだわり、様々な素材を試す中で今回紅茶ときなこのフレーバーを選びました。
紅茶オレンジは、茶葉を直接生地に練りこむことで、豆粉の気になる風味を隠し、紅茶の味わい深いおいしさを楽しめるバランスを実現しています。
また香りのよいオレンジを加えて華やかな味わいのパンに仕上げています。

遂に今回発売することができたきなこあん。ここだけの話、きなこあんのおへそを見るたびにご尽力いただいた皆様の顔が思い浮かびます。
ZENBブレッドの新しい形として、皆様が毎日楽しんで食べ続けていただけるように生地とあんの甘さに強弱をつけることで食べ飽きないおいしさを実現し、あん入りで満足感もアップできるような品質に仕上げました。
特に甘いものを食べたいときにぴったりで、腹持ちも抜群なのでお腹が空いたときに手軽にパクっと食べられ、3時のおやつにちょうど良い満足感があります。
また、オーブントースターで温めると、きなこの香ばしさがより一層引き立ちます。今の寒い時期は、温かいお茶ときなこあんを合わせることで、風味豊かで和を感じられ、心も温まることができると思います。
そして、今後もZENBブレッドは進化し続けていきますので、お楽しみいただければと思います。