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野菜と豆のおいしさでほっとするひとときを。試練を乗り越えたZENBミールスープベース

ZENBミールスープベースは、2023年1月に発売した、ZENBミールと一緒に使うことで食べるスープが簡単に出来上がる調味料です。
でも、ミールスープベースが出来るまでの道のりは、けっして簡単なものではありませんでした・・・
 
時は3年前に遡ります。
私がZENBの商品企画担当になって間もない頃、一つのお題が与えられました。
 
「カップに入ったスープパスタを開発してほしい。」
 
パスタ部分にするのは、お湯戻しやレンジ調理で簡単に食べられるミニパスタとして開発を進めていた、黄えんどう豆100%の”ZENBミール”。(当時社内では”マメロニ”と呼ばれていました)
スープ部分に染み出す豆の旨みを活かしながら、スープパスタとしておいしく食べられる商品を作りたいという思いで開発をスタートしました。
 
本日は、商品企画を担当しました金田より、「ZENBミールスープベース」が商品化されるまでのストーリーを紹介させていただきます。



商品企画&開発担当者

金田志穂(写真左)株式会社Mizkan Holdings 新規事業開発 マーケティンググループ2017年入社。開発技術部でおむすび山、鍋つゆなどの開発を経て、2020年より現職。
香月真央(写真右)株式会社Mizkan Holdings 新規事業開発 R&Dグループ2015年入社。開発技術部でおむすび山、CUPCOOKなどの開発を経て、2018年より現職。

実は香月氏は、私が新入社員の頃に同じチームでお世話になった直属の先輩であり師匠。当時から味づくりが上手く、コンセプトが出来て次の日にはおいしいものが出来ているという神のブレンド力の持ち主(金田談)。仕事でもプライベートでも頼りにしている香月氏と一緒に商品を作れる!と張り切ってスタートしました。

簡便性とコスト 桶狭間の戦い

まず試作したのは、カップにZENBミールと調味料が入ったタイプのもの。
イメージは、カップ入りのインスタントはるさめ。ちょっと小腹が空いた時やオフィスでも、お湯を注ぐだけでおいしく食べられる商品を作りたいと思い試作をはじめました。
味のイメージはすぐにできましたが、苦労したのはカップ部分。
ZENBは、主に通信販売で商品をお届けしているため、なるべくかさばらないカップにする必要があります。出来れば時間を選ばずポスト投函でお届けしたい。
 
折り畳み式のカップがついた商品を買いあさったり、ネットで検索してみたり、それを参考にしながら、紙素材でちょきちょき工作してみたり。
けれど、検討していく中で、特別な仕様の容器はだいぶ高くなってしまうことが分かりました。下手したら中身よりも容器が高い、なんてことに。
 
せっかく手軽に食べられる商品なのに、価格が高く、気軽に食べられなくなってしまっては意味がない・・・
それに、使い捨てカップは地球にも優しくない。
そんな意見も出てきて、カップ付きのタイプは諦めることに。
と、ここまでに約3ヶ月。巡る季節を感じながら、ZENBミールスープベースの検討は続きます。


シンプルに考える

ZENBミールを気軽に食べてもらいたい、地球にも優しくしたい。
セットにしなくても、お客様の手元で自由に組み合わせてもらえばいいのでは?
道に迷ったときには、シンプルイズベスト。
それぞれ小袋に入れた、調味料とZENBミールを作ることにしました。
 
そうと決まれば、フレーバーの検討!
改めて他社品を食べたり、いろいろ作ってみたりしながら味種を広げ、ZENBユーザーのお客様にもインタビューも行って、フレーバーを絞っていきました。
その中で勝ち残ったのは、ベジトムヤム、スープカレー、野菜だしフォー。
植物性素材ながらコクと満足感があり、ZENBミールの風味を最大限に楽しめるフレーバーということで、発売を目指して動きはじめました。

お客様の顔を思い浮かべながら商品を開発すること

しかし、ここでまた立ち止まります。
 
ZENBミールを食べるのはいつどんな時なんだろう?
 
小腹が空いた時や夜食など、間食シーンを想定してフレーバーを検討していましたが、本当にそれがZENBミールを食べるメインシーンなのか。
手軽に調理できて、さらっと食べられるZENBミールは、間食よりも朝食シーンで喜んでいただけるのでは?
 
でも、ベジトムヤム、スープカレーは朝に食べたいフレーバーではない。朝食用には、もっとほっとするような親しみのあるフレーバーの調味料がほしい。
 
発売日が迫っている焦りもありましたが、妥協せず、フレーバーを一から作り直すことにしました。
朝食で食べられているスープのフレーバーを調べたり、アンケートを取ってみたり。
その中で選ばれたのが、ミネストローネと豆乳きのこでした。
 
幸いなことに、今までにも様々な方向性で試作をしていたので、核となる処方の骨組みは出来ていました。処方の骨組みを引っ張り出してきて、急ピッチで試作試作。
なんとか、スケジュールの中で納得のいく味を作り上げることが出来ました。
 
味づくりをする上でこだわったのは、やはり豆の旨みを活かすこと。ZENBミールの豆の旨みと素材の味わいとの調和にこだわり、味のバランスを調整しながらスープの味を完成させました。


幻のオニオンコンソメスープ

実は、ミネストローネと豆乳きのこの他にも選ばれていたフレーバーがありました。
それが、幻の「オニオンコンソメ」。
オニオンソテーをふんだんに使い、植物性原料だけでコンソメ風に仕上げた一品。
3品合わせての発売を考えていましたが、北海道の大雨により、たまねぎが大不作。
スーパーからもたまねぎが消えてしまうそんな状況下で、使おうと思っていたオニオンソテーが使えないことに。
他の原料でも作れるのでは、といろいろ検討してみましたが、ふんだんに使って味のメインにしていた原料ということもあり、どうしてもおいしさが再現できず、発売を断念。
 
ミネストローネと豆乳きのこに夢を託し、オニオンコンソメはその時期が来るまで待機することとなりました。
 
素材のおいしさを活かした設計だからこその難しさを痛感しました。

ZENBミールスープベースでほっとするひとときを

数々の試練を乗り越え、ついに発売することが出来た、師匠香月氏との共同作品。
開発を振り返って、開発担当の香月氏はこう語ります。
 
ZENBミールスープベースは私の経験した商品開発の中で最も紆余曲折し、最も時間をかけて開発した商品です。
ZENBミールのおいしさや簡便性・魅力を伝える調味料として、主食系がいいのか、サラダ系がいいのか、意外とスイーツ系も相性が良いのではないかなど、悩み楽しみながら大好きな味づくりに明け暮れました。
味づくりだけでなく、容器形態についてもたくさんのことを検討しましたが、社内を歩き回り各分野のプロを見つけては助けてもらいながら検討を進めたことで、最終的にお客様にとって一番使いやすい商品にすることが出来たのではないかと思います。(香月氏)
 
お次にお目にかかります時は、小さな袋の中に詰まった私たちの道のりを、くすっと笑っていただけますように。


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