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#6 イセエビのビスクフォンデュ

杉本敬三 / レストラン ラ・フィネス

今回のシェフは、新橋にあるレストラン ラ・フィネスの杉本敬三シェフ。
杉本シェフは、高校生の頃からアルバイトで稼いだ数日分のお給料が1食で飛んでいくような、日本全国の有名なレストランを食べ歩くほどの「食の探求者」。

中でもとりわけ心を動かされた、フランス料理の道に進むと、その実力で日本最大級の若手料理人コンテストRED U35の初代優勝者となり、現在は料理の可能性を広げる活動にも力を入れている。

お店は完全予約制で、席は10名までだが、その厨房をのぞくと、杉本シェフと弟子の2人だけ。お客さんにいいものを食べてもらいたいという一心で、配膳から片付けまでシェフも一緒に動き回っている。

そんな杉本シェフの料理は、素材本来の持ち味を存分にいかした和に通ずるフレンチとも呼ばれ、最高の食材と唯一無二のソースが、食べる人に新鮮な驚きを与えている。


今回、未来に遺すべき作品作りの食材に杉本シェフはイセエビ選んだ。

杉本シェフがほれ込んだと言うイセエビは、千葉県いすみ市にある小さな漁港、大原漁港にあった。


いすみの沖合には「器械根」と呼ばれる岩場が入り組んだ特有の地形が広がり、寒流と暖流がぶつかるそのポイントには海藻や貝などが豊富にある。そこで育つイセエビはそれらを栄養にすることで深い甘味をたたえた極上の味わいになる。

浅瀬のイセエビには独特の磯臭さが出てしまうのに対し、それを全く感じない品質の高さがあるにもかかわらず、それに見合った値段がつかないのが現状だ。

杉本シェフは、本当にいい食材を知ってほしい、広めて行きたいと、未来へ遺すべき作品の食材にいすみのイセエビを選んだ。

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そしてシェフが作り上げた一皿は、イセエビのみそと殻から作ったビスク。
ビスクにすることで、イセエビらしさも出せる上、他の食材とのバランスもとれると考えた。

もう一つ決め手となった大切なこと。
この料理をいすみの生産者さんに食べてもらった時「今までたくさん獲ってきたが、こんなにおいしいと思ったことがない、信じられない」と絶賛し、みんなが笑顔になったこと。

生産者への感謝と食の可能性を探求し続ける杉本シェフらしい一皿がここに完成した。


杉本シェフがこの一皿に込めた想い。
いろんな人の力をもらって、レストランは成り立っている。
生産者は自分が作っている食材がどこまで美味しいのかを知らない。
生産者の愛、想いを大切に受け止めて、後世に残していきたい。

生産者と料理人がお互いに知ること、また生産者同士で他の人はこんなものを作っているということを知ること、さらには、食べる人もどんな想いのこもった食材なのかを知ることが、よりよい食の未来につながる。そんな人と人との温かいつながりを感じた一皿でした。

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