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3年の月日をかけて完成した 素材と食感にこだわったZENB チップス

ZENBチップスが発売されたのは、ようやく春らしくなってきた、2023年の3月のころでした。
発売から半年ほど経ちましたが、予想以上の反響をいただき嬉しい反面、未だに品薄状態が続いているため、お客様にはご迷惑をおかけしています。申し訳ございません。
 
そんなチップスですが、この商品が開発された背景についてお話させていただきたいと思います。
申し遅れました。私は、ZENBチップスの商品企画を担当しました杉山かおりと申します。
 



パッと食べられる商品があったら嬉しいよね!
そんなグループリーダーの一言から、2020年春、ZENBチップスの開発が本格的にスタートしました。
商品企画のメンバー内では、昔から「調理不要ですぐ食べられる商品」のアイディアが議論されてきましたが、クッキーやスナック、バランス栄養食など、色々なすぐ食べられる食品の中で、「黄えんどう豆の素材が活きて、お客様も手軽にパッと食べられる形」は何か、検討と挑戦が始まりました。
 
 
豆という素材を生かす、という挑戦
私自身、節分で食べるお豆が小さいころから好きで、「豆らしい香ばしい風味」が生かせた商品があったらと常日頃から思っていました。黄えんどう豆という素材が本来もつ、風味や味わいをとことん追求した結果たどり着いたのが「ZENBチップス」ですが、それを実現する上で待ち受けていたのは終わりが見えない、試作品づくりでした。
 

商品企画&開発担当者

(写真左より) 富田貴彦 株式会社Mizkan Holdings新規事業開発 R&Dグループ 2010年入社。大阪工場、中央研究所、開発技術部での釜めしのもと、納豆などの開発を経て、2017年より現職。「ZENB CHIPS」の味作りを担当。
杉山かおり  株式会社Mizkan Holdings 新規事業開発 マーケティンググループ 2015年入社。複数プロジェクトでの商品企画担当を経て、2019年現職。 ZENBチップスの他、ZENBヌードル、ZENBミール、ZENBラーメンを担当。


小麦粉でも、米粉でもない、豆粉から作った「チップス」

「ZENBの商品はできるだけシンプルな組み合わせで実現したい」

ZENBの商品開発はいつもこのスタートラインから始まります。
なので、チップスの開発も黄えんどう豆をベースにどうやって食べやすいものを作るか、その製法の検討から始まりました。
一般的に、クッキーは卵や乳製品を加えて作るのは普通ですし、クラッカーはあの食感を出すためにイーストや膨張剤の力をかりているものが多いです。せんべいは余計なものを加えなくても作れるので、これが一番参考になるかなと思いましたが、豆で作る場合は水分を抜く工程でボロボロになってしまい、うまく作ることができず、結果、行きついたのが「豆+油」だけで作ることでした。
ZENB独自の技術により、えんどう豆自体の持つ力を引き出すことで、せんべい製法ではうまくいかなかった生地の成型に成功し、サクサクの食感にも仕上げられそうなことがわかりました。しかし、油の量が多すぎると生地がべたついて台にくっついてしまい、一方で少なすぎると食感がよくないなどあり、最適な量を探る試作を何度も重ね、ついにチップスの原型を作成することができました。

トライ&エラー続きのテスト生産


試作品は社内でも好評だったので、意気揚々と、実際の工場で安定して大量生産できるかのテストに移りました。しかし、結果は大失敗。原因となった要素を一つずつ解決していく、果てのない作業のスタートです。
 
豆粉は小麦粉などと違い非常に繊細で、パリッとした食感を出すためにしっかり焼かないといけない一方で、焼きすぎると焦げてしまうという課題がありました。
また、キレイに焼けたとしても、今度は焼いた際に生地がふくらみ、厚みが不均一になってしまう、という別の壁が立ちはだかります。
チップスの厚みは、「おいしさや食べやすさ」にとって非常に重要な要素です。一部だけふくらんでいると割れやすさの原因になったり、厚みがありすぎると硬い食感となり食べにくさに繋がります。
なるべく均一な厚みで、なるべくキレイな焼き加減を実現するには、材料の配合率、生地の混ぜ具合、水分量、焼く温度などの要素を全て緻密に設定する必要がありました。
たった数%、たった30秒、設定が違うだけでも目標の品質に届かず、工場でのテストは30回以上にものぼり、納得いく品質ができるまで、気づけば3年の月日を費やすこととなりました。
 

それでもこだわった「シンプルさ」と「素材感」


実はここだけの話、小麦粉や加工でんぷん、その他の添加物を混ぜるだけで、簡単に安定した品質のチップスが作れることは分かっていました。
それでも私たちは、ZENBブランドの担い手として、あくまで「豆」にこだわり続けました。
余計なものを一切加えないからこその品質コントロールの難しさに対し、メンバー一丸となって真正面から挑み、数多くの失敗を乗り越えてこられたのも、この「あくまで豆にこだわる」という一貫した強い想いがあったからです。
その結果完成したのは、原材料が黄えんどう豆と岩塩、オリーブオイルの3つだけという非常にシンプルなチップスでした。
シンプルだからこそ、素材本来の風味が楽しめる、そんな商品をお客様にお届けできたということが、私たちの誇りです。


豆の香ばしさを引き立たせる、2つの名脇役


ここまで散々豆のこだわりについてお話してきましたが、実は塩とオイルにもこだわっています。
最初から余計なものは使わず、シンプルな味にしたかったので、味付けは塩味と決めていました。だからこそ味に大きく影響をする塩については、形や粒度が違う様々な種類を試し、まろやかで、口に入れた際に良いアクセントにもなる粒が大きめの「岩塩」を選びました。。
食感に大きく関わるオイルについても、最初こめ油や植物油で試しましたが、イマイチ納得いかず、、、。
油を変えただけの試作品を食べ比べし、最終的に、健康的で豆との相性も良く、パリサクッとした食感と、風味の豊かさを与えてくれるオリーブオイルを選択しました。
「黄えんどう豆」に「岩塩」と「オリーブオイル」がバランスよく合わさっているからこそ、シンプルなのに満足感のあるチップスの豊かな味わいを実現することができたと考えています。
 

お客様の手元に届くまで、最後の一工夫


こだわった形状、食感をベストな状態で楽しんでいただきたい為、現在チップスは割れないようにプラスチックのトレーに入れて大事にお客様の元にお送りしています。この包装の仕方についても、届いた時のお客様の気持ちを想像しながら、発売直前まで検討を重ねたこだわりの工夫のひとつです。
一方で、過剰包装という意見もいただいているので、本当にお客様にとってベストな包装方法、送り方ついて、引き続き考えていきたいと思っています。

手軽にパリっと、気分転換にもなる食事。
この商品の良いところは、間食だけでなく、食事にもピッタリということだと思っています。
実は、商品名についてはかなり迷いました。
候補として考えたのは、「チップス」「クラッカー」「クリスプブレッド」。
クリスプブレッドは、海外では食事のイメージもある食品ですが、日本人にはなじみ薄く、分かりづらいという欠点がありました。クラッカーは馴染みがある分、用途も限られ、私たちが伝えたいことが伝わらないと考え、最終的に「チップス」となりました。
「買ってもらった人に、好きな時に好きなように感じて食べてもらいたい。」という気持ちで最後、幅広く捉えられる「チップス」という名前に決めました。
 
生き方が多様化している現代において、食事の仕方や考え方も人それぞれだと感じています。
好きなタイミング、好きな場所、好きな気分の時に、手軽にパッと食べられる。なのに、さりげなく栄養もとれる。
そんな「気軽に頼れる、相棒的な存在」として、チップスを楽しんでいただければとても嬉しいです。