見出し画像

#5 福永さんの和牛かけしゃぶ

桑原VANNE秀幸 / よろにく

今回の主役、桑原VANNE秀幸さんは料理人ではない。
一歩引いたところで客観的にものが見られるように料理はしないのだ。

実はVANNEさん、ほんの数年までDJだった。
38歳の時に和牛の奥深さに気づき、「よろにく」をオープンさせた。

全国の肉好きから絶大な支持を集め、予約困難で知られる繁盛店「よろにく」。肉質の良い黒毛和牛を仕入れ、部位ごとにカットの仕方、焼き方を調整、教育を受けた焼き手が肉を焼くことで、素材の持ち味を最大限生かした極上の焼肉が楽しめる。そして「よろにく」最大の特徴が、洋食など様々な手法を取り入れた斬新な和牛料理。

その斬新な和牛料理を生み出す、ユニークなアイデアこそがVANNEさんの真骨頂。料理人はどうしても自分の経験にはめようとするが、それがないので他の料理人にはない、自由な発想ができると話す。


そんなVANNEさんが「未来へ遺すべき作品」と聞いて迷わず選んだ食材、それが福永さんの牛
あらゆる肉を食べてきたVANNEさんが今まで食べたどの牛とも違い、食べた時の感動が忘れられないという。

福永さんの育てる牛は、手のかけ方が全く違っている。
飼育する頭数を40頭にしぼりこみ、通常27~30ヶ月で出荷されるところを38ヶ月と時間をかけてじっくりと手塩にかけて育て上げる。
近年、日本ではサシの入った霜降肉ほど高級というイメージが広まり、ビタミンAを欠乏させるという技術でサシの量をコントロールする飼育法が一般的になってきているが、その飼育法は牛に多大なストレスをかける。
福永さんはできるだけ自然にストレスなく育てることで、肉本来のおいしさを追求している。


画像1

今回、VANNEさんがそんな福永さんの牛を使って作った未来へ遺すべき一皿は、和牛かけしゃぶ。

福永さんの牛に濃厚なウニや香ばしく焼いた松茸といった、あえて強い食材を合わせた一皿。強い食材にも負けない濃厚な味、力強さのある福永さんの牛でなければできない料理だった。

VANNEさんがこの一皿に込めた想いはひとつ。

福永さんが作る和牛を後世に伝えたい。
効率化で合理性が求められている世の中でも、そこではなく、安全とおいしさを求めているような生産者さんを守っていきたい。

忙しい現代人にとって、効率や合理性は大事な価値ではあるが、それを食にまで求めてしまっていては、本当に大事にしなければならないものを失ってしまうのではないだろうか。そうならないために何を大事にすべきかを今一度考え直させられた一皿でした。

こちらの番組はYouTubeで公開中です↓ぜひ、ご覧ください。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!