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#37 “Tai kama Sauce Umami” Fermentation

手島竜司 / Restaurant PAGES

今回の料理人は、手島竜司シェフ。
2014年、フランス凱旋門の近くにPAGESをオープン。
食の歴史に新たな“ページ”を加えたいとその名前を付けたお店は、わずか1年半でミシュランの一ツ星を獲得した。

連日、満席が続いていたお店も今年3月、パリがロックダウンされ、営業禁止となったのを機に日本に一時帰国していた手島シェフに、今回、未来へ遺すべき作品作りを依頼した。

創作のヒントを探すために、手島シェフが訪れたのは滋賀。

目をつけたのは、滋賀の家庭に代々伝わる発酵食品「鮒鮨」

奈良時代から食されてきた、寿司の原点と言われる鮒鮨は、仕込みに最低2年。しかも食べてみるまで出来、不出来はわからない。
それでも冬場の貴重なたんぱく源として、健康への観点からも1000年以上重宝されてきた。

「発酵を新たな武器にしたい。最近は北欧などでも発酵文化があるが、でもそれとはまた違う発酵の仕方、部類だと思うんです」と手島シェフは話す。

世界のベストレストランに輝いたノーマ。
その発酵への取り組みに、世界のトップシェフが熱い視線を送っている。

しかし、手島シェフは北欧仕込みのそれとは違う、日本の伝統的な発酵で作品を作り上げるという。そこに挑むのにはこんな想いがあった。

フランスに恩返しがしたい

26歳の時、言葉もわからぬまま、あこがれだけでパリに飛び込んだ手島シェフ。自分をここまで育ててくれたフランス料理に、日本の持つ文化や技術を遺していきたい。


手島シェフは、未来へどんな一皿を完成させたのか。

まず手にしたのは、鮒鮨の飯。小分けにした鮒鮨の飯を水で軽く流し、酸味を和らげる。それをPAGESの味を支える、鳥や貝からうまみを抽出したスープに加え、日本とフランスの食文化をひとつにした濃厚なソースを作った。

このソースに合わせるメインの食材は、塩麹で軽く発酵させた鯛のかま。
フランスではメインにはほとんど使われることのないこの部位のおいしさを伝えたかった。

そうして完成した手島シェフのフランスへの恩返しの一皿。

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フランス料理の未来に日本の発酵文化を遺したいという想いを込めた一皿だった。

2年後、3年後にはもしかするとパリで日本の発酵技術を使ったフランス料理が食べられるかもしれない。そこにおいしさの未来がある。


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