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#31 ヌードル

高田裕介 / La Cime

今回の料理人は、白いTシャツにエプロンがトレードマークのLa Cimeの高田裕介シェフ。

料理人を驚愕させ、話題になっている高田シェフのインスタグラムには、独創的かつ美しい料理が、ほぼ毎日更新されている。それも全て新作

インスタに上げているのは、料理の試作。
日々届く食材やストックを使い、即興で作っている。

ほぼ毎日新作を作るという、その圧倒的なまでに豊富な引出しはどこで手に入れたのか。

高田シェフは辻調理師専門学校を卒業後、大阪のフレンチ、イタリアンで修業。フランス料理の古典を原書でむさぼるように読んだ。
2007年にあこがれのフランスへ。
そのきっかけとなったのが、フランス料理界のスーパースター、ヤニック・アレノ。

それまでのフランス料理のデザインを変えた人
ビジュアルもきれいで食べてもおいしい。料理を見ただけで誰が作ったかが分かる料理」と高田シェフは話す。

恩師ヤニック氏は高田シェフの料理についてこう話してくれた。
「彼はソースが料理において必要不可欠なものだということをちゃんと理解してくれました。ソースはフランス料理にとって言葉のような役割を果たしています。ソースによって食材同士が言葉を交わすことができ、創造性が次々と生み出されるのです。21世紀は新たなソースの時代となるはずです。そしてそれがフランス料理の未来を変えてくれると信じています」

今や巨匠も一目置く存在となった高田シェフの料理だが、
なぜこうも次々と新しい料理をひらめくかを聞いてみると、意外な答えが返ってきた。

ノリで作った感じ。ラッパーがフリースタイルをしているようなもの。
でも、それくらい身に着けないとだめっていうこと

その言えるには、誰よりも情報を持っているという自信があるからこそ。
ビストロの定番を進化させたかと思えば、見慣れた食材を意外な調理法と組み合わせることでオリジナリティあふれる一皿へと昇華させる。その思いがけないおいしさに驚かされる。


そんな料理人が刺激を受ける料理人、高田シェフは未来にどんな一皿を遺すのか。

訪れたのはふるさと、奄美。

作品の主役に選んだのは奄美豚。黒豚のルーツとも言われている奄美の在来種。一時、絶滅の危機に瀕していた。

その奄美豚の普段使わない首の部分を奄美で汲んできた海水に浸け、奄美でもいだ草で香りづけした。

そして完成した一皿は、シンプルなスープにつかった麺。

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麺はソテツの実をすりつぶし、でんぷんだけ抽出した粉に小麦粉を混ぜて打った麺。スープは奄美豚の首と背脂、鹿児島のきびなごの魚醤を加えて仕上げた。

独創的な新しい料理を次々に生み出し続ける高田シェフが食の未来を想い、考え抜いた答えは、ふるさとへの感謝が凝縮したシンプルな一皿だった。

次々と生まれる新しいもの、それらもまた過去からのつながりで生まれ、今の食を、そして未来の食を支えていく。

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