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#1 コーンスープ

須賀洋介 / SUGALABO

「未来へ遺すべき作品を提出されたし」という依頼に対し、シェフ自身の考える食の未来を形にした一皿を作り上げるまでを追い、コレクションする食の美術館「パレ・ド・Z」。

第一回目のシェフはSUGALABOの須賀洋介シェフ。

21歳でフレンチの巨匠ジョエル・ロブションの門下にはいり、世界各国で新店舗の立ち上げに尽力、パリ店の総料理長にまで上り詰め、帰国後、SUGALABOをオープンした。

食の実験室、SUGALABOは完全紹介制でメニューはおまかせコースのみ。
コースのメニュー表には食材と産地だけ。須賀シェフ自らが食材探しの旅をして、直接生産者と会って見つけた食材で構成されている。生産者の声に耳を傾けることで、フレンチの枠を超えた料理が生み出される。


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そんな須賀シェフが未来への遺すべき一皿に選んだ料理がコーンスープ。
お世話になったロブション氏が、これは面白いと認めてくれた思い出の一皿でもある。

この一皿には、複雑な作業を入れず、食材にあった調理法、おいしさや特徴を一番引き出せる最低限の作業だけをして、食材が持つ力を最大限に引き出すという須賀シェフの料理哲学が詰まっていた。

とうもろこしの軸を水から煮て抽出したコーンウォーターを使って実を炊き、味付けは塩だけとシンプルに仕上げた。単純に見えるその工程だが、そのスープはこれまで味わったことのないほどの甘さ。

その秘密は軸。軸は甘味料になるほど甘味を含んでいる。その軸の甘味までまるごと使って、とうもろこしのおいしさを最大限にまで高めた。

かつて師匠ジョエル・ロブション氏が誰もが食べたことのあるなじみのある食材、じゃがいもをフランス料理史に残る名品に昇華させたのと同じように、須賀シェフはとうもろこしを普段捨てている軸の部分までまるごと使うことで、その甘味をさらに引き出し、ロブション氏も認めるコーンスープに昇華させた

今まで何度も食べてきた食材にも、まだまだ私たちが知らない魅力がある。新しいおいしさは、意外と身近にあるのかもしれない。そんなわくわくする食の未来を期待させてくれる一皿でした。

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