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#24 葱油節麺

南俊郎 / Mimosa(ミモザ)

今回の料理人は、中国料理Mimosaのオーナーシェフ、南俊郎さん。

Mimosaが掲げる料理は老上海。
北京、四川、広東、上海からなる中国四大料理の中でも、日本の食文化に最も近いと言われるのが、上海料理。老上海はその根幹をなし、庶民の間で受け継がれてきた伝統的家庭料理をさす。Mimosaでは、素朴でありながら、華やかさを感じずにはいられない老上海を存分に味わうことができる。

南シェフが目指すのは、澄んだ料理
見た目がきれいで、シンプル。味の想像がつきそうだけど、食べてみたらちょっとちがう、裏切りのある料理。甘味、旨味、塩味、酸味、苦味のバランスの真ん中を突くような透明感のある、食べ疲れない料理を目指している。

南シェフの料理を知る人はそのすごさをこう語る。
「その1杯で寿命が100年延びるような奇跡のスープ」
「一度食べたら、また明日も食べたくなる料理」

そんな南シェフは、未来にどんな一皿を遺すのか。

そのヒントは南シェフの故郷、徳島にあった。
選んだ食材は地元で作られる半田そうめん、ではなくその端っこの部分、「ふしめん」

一般的にはあまり流通していないふしめん。普通のそうめんとは違って中に油が入っているので、中国の麺に近く、普段使わない端の部分を使うことは、中国料理の全て無駄なく、余すことなく食べるという考え方に通じると作品の主役に選んだ。


南シェフの作品作り。
まず取り出したのは普段あまり食べられない、葱の青い部分。
「すべての食材は手間をかければおいしくなる」
その言葉をかみしめるかのように丁寧に刻み、それを熱した油の中に入れ、中火でゆっくりと茶色くなるまで焼き上げた。そして、ふしめんを湯の中へ。

ゆであがった麺と葱、その香りが十分に移った油、しょうゆを合わせて、作品を完成させた。

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なぜこの一皿だったのか。

「この料理は、上海で葱油拌面と呼ばれ、朝食などに食べられているソウルフード。しかし、食文化の西洋化により、今はだんだん食べられなくなってきてしまっている。そんな伝統的な食文化を遺していきたい。

経済成長の陰で消えつつある伝統的な食文化。
普段はあまり使われないで捨ててしまう食材でも、家庭で簡単に作ることができ、そうやって昔から多くの人に愛されてきたレシピ。

新しいものばかりではなく、受け継がれてきた食文化やレシピに目を向けてみれば、そこに未来の食を豊かにするヒントがあることを教えてくれる一皿でした。

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