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#4 鱧茶漬け

黒木純 / くろぎ

今回の料理人は「くろぎ」の黒木純さん。

高校を卒業後、地元宮崎から上京、和食の神様と呼ばれる京味、西健一郎さんに弟子入り、8年間の修行を積んだ後、独立を果たした。

全国から集めた旬の食材で日本ならではの四季の移ろいを粋に表現する、東京割烹という独自のスタイルを確立し、国内外から予約が殺到する人気店となった。

忙しい中でも店舗の確認を欠かさず、新メニュー開発では「和」の追求に一切の妥協をしない。


そんな黒木さんが未来へ遺すべき作品に選んだ食材は、和食に欠かすことのできない「米」。

現在、戦後に比べて米の消費量は半分以下に減っており、黒木さんはそんな米の未来に危機感をいだいている

作品作りのもう一つのヒントは、故郷、宮崎にあった。
それは、幼いころ父親が作ってくれた郷土料理、冷や汁。
その土地にずっと残り続ける料理には、必要とされている理由があると黒木さんは話す。


「米」を100年先まで遺すために、黒木さんが作った未来へ遺すべき作品は、鱧茶漬け。

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米は北海道で収穫し、新潟の雪室で1年間熟成をかけ、水分量が増し、もっちりと甘くなったものを、まだ少し芯が残っている一番甘味を感じられる煮えばなの状態に炊き上げた。

この極上の米を作品に昇華させるために選んだ食材は、淡路産の鱧。これに和食の食材の組み合わせ「出会いもの」と呼ばれる、相乗効果でより美味しくなる徳島の松茸を合わせた。

炒ったごまを炭火で焼いた鱧とともにすりつぶし、鱧の骨と松茸で旨味を増した醤油を加えて作ったごまだれを、皮目のみ焼いたレアな鱧の上にかけて仕上げ、日本の原風景を未来へ伝える鱧茶漬けを作り上げた。


黒木さんは100年後は米を食べているのだろうか。という疑問を投げかけた。今は当たり前にあるので、まさかなくならないだろうと思ってしまうが、戦後から100年たたずに米の消費量は半分以下になった。これから100年先はどうなっているのだろうか。


食はいろんな文化、多様性があるからこそ、楽しく、豊かなのではないだろうか。和食の魅力を知るひとりひとりが、和の心を忘れないことが和食の未来を、豊かな食の未来を作る。


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